出典元:アーバン ライフ メトロ
かつて江戸近郊の農村部だった東京東部の「下町」。そんな同エリアを、ブログ「限界ニュータウン探訪記」管理人の吉川祐介さんは新たな「拠点」と位置付け、再解釈を試みています。
【画像】23区北東部の下町風景
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不動産取引の現場で「嫌悪施設」という言葉があります。その意味は読んで字のごとし、「社会一般としての必要性は認められるが、地域にとっては不都合であるため、建設や維持管理において近隣住民との合意形成のむずかしい施設」(日本大百科全書、小学館)です。
嫌悪施設に該当する施設が法令などで明文化されているわけではありませんが、居住性や資産価値に悪影響を及ぼすと考えられるものについては、取引時の重要事項説明において、売り主(貸主)および仲介業者に告知義務があります。
しかし、嫌悪施設の概念には主観が混じりがちです。
大型車両の増加や騒音などの要因となる施設であれば致し方ありませんが、実害はほぼないにもかかわらず、施設が持つ「イメージ」だけで避けられ、地価相場が周辺より下がる例は全国各地に存在します。
筆者はこの一方的な概念を肯定しませんが、高額取引となる不動産売買の契約においては、これらについて言及しないと、後に深刻なトラブルになる危険性があります。そのためにも、告知義務が法令で定められていのです。
嫌悪施設に近接する住宅地は、他の地域と比べて一般的に取引が鈍く、開発も進みづらいことが少なくありません。また新規に嫌悪施設を設置する際も、既存の住宅地から離れた立地が選定されるものの、都市の膨張によって、当初は辺ぴだった立地が、施設周辺まで宅地化の波に飲み込まれるケースが随所で見られます。
その最もわかりやすい例のひとつが23区北東部に位置する、とある法務省管轄の施設です。