【「BLUE ブルー」評論】敗れ去った者の背中は、時として美しい 吉田恵輔監督が紡いだボクサーたちへの賛歌(映画.com)

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出典元:映画.com

ボクシング映画というジャンルに相対する時、無意識のうちに、こんなことを期待していたのかもしれない。それは高揚感を誘う「再起」。リングへと沈んだ者たちが、血反吐を吐きながらも這い上がる。その姿は確かに美しく、心に響くものだ。吉田恵輔監督が描出した拳闘の世界は、その期待には安易に応じず、挑戦者たちの人生を泥臭く肯定していく。

 本作で描かれるのは、挑戦者を象徴する“ブルーコーナー”で戦い続ける者たちの生きざまだ。誰よりも努力し情熱を注ぐも、負け続ける瓜田信人(松山ケンイチ)、抜群の才能とセンスを持つ小川一樹(東出昌大)、恋心をきっかけに“ボクシング風”を会得しようとする楢崎剛(柄本時生)、そして彼らを見つめるヒロインの天野千佳(木村文乃)。吉田監督が構想8年をかけて完成させた物語は、観客にシビアな現実を突きつける。強者は勝つ、弱者は負ける――そこには、神の心付けのような“奇跡”は生じない。

 吉田監督は、中学生の頃から現在に至るまで、30年近くもボクシングを続けている。そのキャリアを持って、本作では殺陣指導も兼任。一朝一夕では身に付くことのない視点によって「本物の試合」を完成させた。無論、俳優陣の後押しもあってこその結実だろう。2年という歳月をかけ“佇まい”を本物に近づけた松山、“代償”に揺れるさまを見事に体現した東出、吉田作品ならではのコミカルさも引き受けつつ“ボクシングに魅了される”という過程を示した柄本の存在抜きにしては、成し得なかったはずだ。

 「何箇所もジムを渡り歩き、沢山のボクサーと出会い、見送っていきました。そんな自分だからこそ描ける、名もなきボクサー達に花束を渡すような作品」とコメントを寄せていた吉田監督。30年という歳月の中、幾度となく訪れたであろう「見送り」の機会。そこには「再起」のようなドラマティックさは少なかったのかもしれない。だが、振り返りもせず敗れ去った者の背中は、時として美しく、他者に影響を与える。劇中で描く“思いの伝播”もさることながら、吉田監督が「BLUE ブルー」を世に放ったという事実も例に漏れず、ということだ。

 だからこそ、ラストショットが胸を打つ。吉田監督は、完成報告会の場で「僕のラブレターが詰まっている映画」と言い表してみせた。その思いは、瓜田が自然にとった“ある動作”に集約されているかのようだ。勝者も敗者も、リングに留まった者も、そして去った者も「ボクシングと向き合っていた」という事実は変わらない。ひとりでも多くの“見送られた者たち”に、この結末を目撃してほしい――鑑賞後、心からそう願っていた。

(岡田寛司)

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