ブライアン・イーノを今こそ再発見 アンビエント/ポップの両側面から本質に迫る(Rolling Stone Japan)

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出典元:Rolling Stone Japan

ブライアン・イーノがサウンドトラック作品を集めた初のコレクション・アルバム『フィルム・ミュージック 1976-2020』をリリース。ポップとシリアスを横断する稀有な音楽家の魅力を、音楽ディレクター/ライターの柴崎祐二に解説してもらった。2020年代にイーノを聴くべき理由とは? 

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コロナ禍が深刻化していく中、不安にまみれる世界へそっと差し出されたアンビエントという「安らぎ」。今年4月末にニューヨーク・タイムズのweb版で公開されたブライアン・イーノのアンビエント作品をプレイリスト形式で紹介する記事は、彼が長いキャリアに渡って作り出してきた音楽が、この混乱の時期にあっていかに優しく人々を慰撫しうるかを示したものだった。……そうやって世界中が悲しみ(と怒り)に浸された2020年だが、一方で、イーノ本人は果敢にもその歩みを緩めることはなかった。

まず3月には、弟ロジャー・イーノと初の共同名義による新作アルバム『ミキシング・カラーズ』を、クラシック音楽の名門ドイツ・グラモフォンよりリリース。これまでもコラボレーションを重ねてきた彼らだが、本作では一層お互いの音楽性を深いレベルから混ぜ合わせるような作風となっており、大きな称賛を受けた。弟の耽美的(ニューエイジ的といってもいい)ピアニストとしての個性が、兄の精緻な音響操作と相まみえることで、近年の作品の中でもひときわの穏やかさを湛えた作品となっている。

続いて8月には、1990年にジョン・ケイルとの連名で発表した『ロング・ウェイ・アップ』、1995年にジャー・ウォブルと共に制作した『スピナー』という2作のコラボレーション・アルバムが、ボーナス・トラック付き高音質エディションとしてリイシューされた。前者は、一般的に認識されるアンビエント作家のイメージにとどまらないヴォーカリストとしての魅力を再提示することになったし、ダブ・テクノ色の強い後者は、共作者の個性を活かしながら無二の作品を作り上げていくイーノの鋭敏なプロデュース・センスを改めて知らしめることになった。

そして、先だって11月13日には、これまで映画やテレビ番組等へ寄せてきたサウンドトラック作品をコンパイルした音源集『フィルム・ミュージック 1976-2020』をリリース。

イーノによる映画音楽集というと、長年のファンであればまず1978年の名作『ミュージック・フォー・フィルムズ』を思い起こすことだろう。実はそのアルバム、特定の作品に使用されたあるいは描き下ろした楽曲を集めたものではなく(B-⑨「ファイナル・サンセット」を除く)、もともとはソロ・デビュー後から細かく録り溜められ、1976年に業界向けにプロモ・リリースされた初出し音源集を元にしている。78年の一般リリース盤のジャケット裏を見ると、ライセンス許諾窓口の記載があるなど、実際にはいわゆるライブラリー・ミュージック的なアルバムとして発表されたものだった。

その点、今回リリースされた『フィルム・ミュージック 1976-2020』は、タイトルにある通り1976年から2020年にかけて使用されたスコアを収録しているという点で、「純正」の映画音楽仕事集ということができる(①②③⑤⑦⑫⑮が初音盤化曲)。

まず聴きどころとなるのが、収録年間が長期間に渡ることからくるバラエティに富んだ音楽性だろう。もっとも古い音源はデレク・ジャーマン監督のカルト作『セバスチャン』(1976年)に提供した⑯「ファイナル・サンセット」で、これは上述の通り『ミュージック・フォー・フィルムズ』にも収められていたもの。⑬「ドーバー・ビーチ」も同じくジャーマンの『ジュビリー/聖なる年』(1978年)へ書き下ろされた楽曲。これらのトラックが制作されたのは、ちょうどイーノがアンビエントというコンセプトを磨き上げていく時期とも重なっており、1975年の『ディスクリート・ミュージック』から一連のアンビエント・シリーズへ続く作品の内容とも相互的な影響関係を見出すことが出来る。元々アンビエントが必ずしも意識的な聴取を前提としない「後景的」な音楽の可能性を拓くものだったことを考えると、当然、背景音楽としてのフィルムスコアの手法ともその本質は重なり合ってくる。ゆえに、オリジナル・アルバムでの実践がこうした外部仕事にも少なからず漏れ出ているという事実はもちろん、同時にその後のイーノの各作品に対して映画音楽制作の経験が与えたであろう影響の大きさも改めて教えてくれる。

他にも、例えばデヴィッド・リンチ版の『デューン/砂の惑星』(1984年)における⑥「予言のテーマ」は、デジタル・シンセサイザー導入後に特徴的な(ある意味時代がかった)トーンが興味深いし、ジョナサン・デミの『愛されちゃって、マフィア』(1988年)でのウィリアム・ベルによるソウル名曲のカヴァー⑩「ユー・ドント・ミス・ユア・ウォーター」は、おそらくザ・バーズのバージョンを下敷きにしたであろう静謐なフォーク・ロック調ヴォーカル曲で、この後に続く久々のヴォーカル作品『ロング・ウェイ・アップ』の予兆として聴くこともできる。

⑤「ディクライン・アンド・フォール」(2017年)、⑦「リーズナブル・クエスチョン」(2020年)、⑭「デザイン・アズ・リダクション」など近年の仕事に目を転じても、このところの作品に親しんでいるリスナーにとってはごく馴染み深い電子音のトーン/ミックス・バランスに彩られていることがわかるだろう。現在に渡ってなお様々な仕事を通じて自らの音楽性/コンセプトに新しいアイデアを取り込み続けるイーノの姿を活写する作品集としても、この『フィルム・ミュージック 1976-2020』は、是非とも聴いておきたい好コンピレーションだ。

また、本作をじっくりと味わったのちに、イーノのオリジナル・アルバム各作の自律的特色へじっくりと立ち戻ってみるのも面白いだろう。たとえば、『ミュージック・フォー・エアポーツ』(1978年)を始めとする一連作における極上の静謐、あるいは盟友ロバート・フリップと作り上げたフリップ&イーノとしての各作における硬質のアンビエンス、他にもドイツのクラスター(メビウス、ローデリウス)との共作で聴かせる静かなテクノ的律動。それらがどのようにイーノの映画音楽と似ているのか、あるいは似ていないのかを丁寧に弁別してみること。その体験は、おのずとイーノの映画音楽観並びにアンビエント観をあぶり出すことにもなるだろう。

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