映画「ゆるキャン△」に見る現在の映画におけるブームの作り方【コラム/細野真宏の試写室日記】(映画.com)

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出典元:映画.com

映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)(文/細野真宏)

【画像】「映画 ゆるキャン△」場面写真

 2020年から続いているコロナ不況から映画業界がようやく抜け出そうとしています。日本の主要配給会社11社における1月~5月の興行収入は、前年比で140.4%を記録するなど活況を取り戻しています。邦画は既に好調ではありましたが、「トップガン マーヴェリック」の想定以上の活躍もあり、両輪となるべき洋画も元気を取り戻してきています。

 この復活劇の背景には、大きな傾向が2つ見て取れます。

 1つ目は、ここ数週間のランキング上位の主な作品に、「トップガン」「ドラゴンボール」「ウルトラマン」「機動戦士ガンダム」「名探偵コナン」といった“歴史のあるタイトル”が目につく点です。

 これは、映画が毎年継続しているような作品から、「トップガン」のような36年ぶりの作品までありますが、旧作ファンから新規層までの幅広い層に支持され「共通言語化」しやすい強さがあります。

 この「共通言語化」は、世代の垣根を超え“日常会話での話題の乗せやすさ”があり「口コミ」が広がりやすく「マス」化が進み、好調の大きな要因となるわけです。

 2つ目は、メガヒットを狙うわけでなく、小規模な公開館数で「コア」層を狙っていく堅実なアニメーション映画の動きです。

 アニメーション映画はメガヒット作品が目立つ一方で、特にオリジナル作品の場合は、存在さえ気付いてもらえずにコケてしまっている映画が残念ながら散見されます。

 そこでオリジナル作品ではなく、堅実に、人気のある原作マンガでの展開を考える手法が浮上します。特にアニメ化している作品の場合だと、映画化した際にどのくらいのニーズがあるのか把握しやすい面があるのです。

 この流れにあるのが、現在公開中の「映画 五等分の花嫁」、「劇場版 からかい上手の高木さん」、そして今週末7月1日(金)に公開される「映画 ゆるキャン△」です!

 まず「五等分の花嫁」は講談社の「週刊少年マガジン」で2017年から2020年まで連載され、単行本は全14巻となっています。そして、2022年3月時点で累計発行部数は1600万部を突破するなど、原作マンガは売れています。

 そして、2019年と2021年にテレビアニメ化(各12話)。2022年5月20日から公開されている「映画 五等分の花嫁」において、原作の最後までをアニメ化したわけです。

 次に「からかい上手の高木さん」は小学館の「ゲッサン」(当初は付録の「ゲッサンmin」)で2013年から連載されているマンガです。現時点で単行本は18巻まで発行されています。

 そして、2018年、2019年、2022年の3期にわたってテレビアニメ化されているのです。

 その安定した人気にのって2022年6月10日から公開されているのが「劇場版 からかい上手の高木さん」です。

 この2作品は、大手出版社発で基本的な仕組みは同じなのですが、「週刊少年マガジン」(発行部数48万部)と「ゲッサン」(発行部数1万2000部)では知名度に差が出る面があるのかもしれません。(共に2022年1月~3月:日本雑誌協会調べ)

 これらは大まかに興行収入では4~6億円を目指すビジネスモデルなのですが、「映画 五等分の花嫁」に関しては入場者特典が想定以上の人気となり、「入場者特典を出せば出すだけ伸びていくようなモード」に入っているようです。

 本来は安定的なビジネスモデルでも、このような「確変」モードに入ることもあり、その不確定さが映画興行の面白さでもあります。

 さて、この流れで今週末から「映画 ゆるキャン△」が公開されるのですが、この作品については、どのような結果になるのか興味深いのです。

 まず、大前提として、これら3作品とも純粋に良く出来ていて面白い映画だと思います。

 そんな中、私は「ゆるキャン△」という作品の存在を知ったのは、比較的、最近なのです。

 そして、出版社は「芳文社」なのですが、これまで私とは縁がなかったようで、映画を見て初めて認識した状況です。(おそらく私と同じように“本作の冒頭”で認識する人も少なくないと思っています)

 「ゆるキャン△」は、月刊誌「まんがタイムきららフォワード」で2015年~2019年に連載され、それ以降は「COMIC FUZ」という芳文社の電子コミックアプリに移行し、現時点で単行本は13巻まで発行されています。

 これは、まさに“今のマンガ業界の風潮”を感じます。

 実は、そもそも私が「五等分の花嫁」や「からかい上手の高木さん」を知ったのは、講談社と小学館の電子コミックアプリ内で出合ったからでした。

 このように考えてみると、もはや出版社はそれほど重要な要素ではなくなってきているのかもしれません。

 「ゆるキャン△」は2018年と2021年に2期にわたってテレビアニメ化。2020年と2021年に2期にわたってテレビ東京系列でドラマ化もされています。

 物語の中心を担うのは、女子高生たち。それが今回の映画版ではメインキャラクター5人が社会人になっているのがポイントです。

 タイトル通り、ユルっとしたキャンプが題材になっていますが、基本的にインドア派で、キャラクターを知らない私でも面白かったです。

 これまで邦画だけでなく世界中の映画を見てきましたが、正直、スマホのメールのやり取りについては、どの映画も見にくく、もうちょっと上手く見せられないのかな、という不満を持っていました。そんな中、「映画 ゆるキャン△」では、ベストな手法を見た感じで、非常に効果的な映像表現でした!

 なお、「ゆるキャン△」のタイトルにある「△」は、テントを意味している“絵文字”で「音読しないで良い文字」なのですが、タイトルに絵文字が使われたりと、マンガの世界も変化を見せています。

 主人公たちの年齢層は、「映画 五等分の花嫁」が高校生、「劇場版 からかい上手の高木さん」が中学生、「映画 ゆるキャン△」が新社会人という感じで、メインの客層はどこがコアになるのか注目したいと思います。

 内容的にも、「映画 五等分の花嫁」と「劇場版 からかい上手の高木さん」は恋愛要素が大きいのですが、「映画 ゆるキャン△」ではアウトドア系ガールズ物語なので、この辺りがリピート需要にどう関係していくのかも興味深いです。

 そして、リピート需要に欠かせない、この3作品の共通点は「入場者特典」。「劇場版 からかい上手の高木さん」の第1弾特典では、「からかい上手の高木さん “映画”巻」のように単行本の形の特別バージョンになっています。

 他の2作品も同様に、最新刊に+0.5を加える形で、「映画 五等分の花嫁」では、「五等分の花嫁」14.5巻。「映画 ゆるキャン△」では、「ゆるキャン△」13.5巻となっています。

 このように見ていくと、単行本を集めているファンは、この「特別な巻数」も本棚に並べておきたくなる仕様なので、発行部数が最も多い「五等分の花嫁」で爆発的な効果があったことに納得がいきます。

 しかも、配給会社の力関係もあったのか、配給・ポニーキャニオンの「映画 五等分の花嫁」は108館、配給・東宝映像事業部の「劇場版 からかい上手の高木さん」は151館、配給・松竹の「映画 ゆるキャン△」は121館での上映となっています。

 つまり、「映画 五等分の花嫁」では、“単行本人気+上映館が少ない”ということで、より争奪戦の様相を呈するような状況にあったと言えるでしょう。

 このように入場者特典などを駆使し、小規模公開でも着実に下支えする作品が増えていて、今の好調な映画業界を演出しているのです!

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