神はサイコロを振らない、4人が語る「影響を受けた本」(Rolling Stone Japan)

出典元:Rolling Stone Japan

アーティストの世界観を構成する「本と音楽」の関係にフォーカスをあてるこのコーナー。今回登場するのは、神はサイコロを振らない。

【画像】神サイが選んだ本

「静けさ」と「激しさ」を行き来するダイナミックなバンド・アンサンブルと、美しくも切ない歌詞を情感たっぷりに歌い上げる柳田周作のヴォーカルが、若年層を中心に注目を集めている福岡発の4人組バンドだ。今回4人には「好きな本」「影響を受けた本」を3冊ずつ挙げてもらい(柳田は4冊)、その魅力についてたっぷりと語ってもらった。

『ドラゴンボール』でいうところの「精神と時の部屋」みたいな場所に自分の神経を持っていきます(柳田)

ーとりあえず、一冊ずつ順番に紹介してもらいましょうか。

柳田 じゃあ、僕から行きます。最初に紹介したいのは太宰治の『人間失格』。子供の頃に一度読んでいたのですが、最近読み返してみたら当時感じたのとはまた全然違う気持ちが湧き上がってきました。自分が歌詞を書くようになってからの視点が加わったのかもしれない。『人間失格』は太宰の半分自伝のような小説ですけど、幼少期から彼が抱えていた周囲の人たちに対する不信感、貞操観念の脆さとか、自分とちょっと重なる部分があったんです(笑)。これはネガティブな発言と思われるかもしれないですけど、自分は「不出来な人間」であり、たくさん人を傷つけて生きてきた自覚があって。ちょっと心苦しくなりつつ、読み耽ってしまう小説です。

ー太宰治って、セルフプロデュース能力に長けているというか。小説を読んでいると、「この人って自分の見せ方を常に考えているんだな」って思いませんか?(笑)

柳田 分かります(笑)。俯瞰で見ている感じはありますよね、しかも幼少期の頃から。自分の弱さをさらけ出しながら、それを作品に昇華していくところとかも自分と似ている気がするんですよ。

ーいつもどんな風に歌詞を書いているんですか?

柳田 とにかく集中したいので周りをシャットダウンするというか。『ドラゴンボール』でいうところの「精神と時の部屋」みたいな場所に自分の神経を持っていきます(笑)。しかも、自分自身の「記憶」の中にフルダイブして言葉を掴んでくるような感覚があって。書き終わった後は、鬱の真っ只中みたいになってしまうことがよくあるんですよね。その辺も『人間失格』に通じるようが気がするんですよ。

吉田 僕は、町田康の『つるつるの壺』を選びました。町田さんは、その昔INUというバンドのヴォーカリストだった人。僕自身は80年代の日本の音楽に全く疎くて、町田さんがどんな音楽をされていたのか知らずに友人からこの本を借りて読み始めたんです。同時にINUのアルバムも聴いてみたんですけど、『つるつるの壺』を読み終わったときの気持ちが、INUのアルバムを1枚通して聴いた時の気持ちと非常に近かったんですよね。めちゃくちゃ難しいゲームを、何日もかけてクリアしていくような楽しさがありました。まだ、町田さんの本も音楽も触れたばかりなので、これからどんどん掘り進めていきたいと思ってます。

ー桐木さんは、いわゆる「実用書」を選んでくださいました。

桐木 尾原和啓の『あえて数字からおりる働き方』です。最近出版されたばかりの本ですが、最初のページに、「いつか何者かになりたいと思っているすべての人と 自分は何者にもなれていないと思っているすべての人へ 変化できない中で錆びてしまうことに不安に思っている人へ まずあなたが、誰かにとっての何者かになることからはじめてみよう」と書かれているのを読んで購入を決めました。

ー実用書や自己啓発本は、普段からよく読むのですか?

桐木 読むようになったのは最近ですね。実は今悩んでいることがあって、「変わりたい」と思っている時期なのかもしれないです。今、SNSが普及して誰もが主人公になれる時代じゃないですか。「何者かにならなければいけない」みたいな呪縛が自分の中にもある。それで悶々としていたときに、この本に出会ったんです。「何者かになりたければ、誰かにとって意味のある人になろう」といった趣旨のことが書かれていてハッとしました。抽象的な話ではなく、具体的な話だったのもよかったです。

黒川 自分は宿野かほるの『ルビンの壺が割れた』という小説を紹介します。この本は「ジャケ買い」じゃないですけど、文字がバーっと書かれた表紙(全面帯)に惹かれて購入しました。読むと、SNS上でのテキストのやり取りだけで物語が進行していくんですよ。その男女はどんな関係なのか、なぜやり取りをするようになったのかは、本を読み進めていくとだんだん明らかになっていく。こういう形式の小説を読むのは初めてだったので、ものすごく新鮮でした。しかも、最後の最後で「おお、そうきたか」みたいな展開もあって目が離せない(笑)。

ー「ルビンの壺」って、心理学では有名な「絵」のことですよね。

黒川 そう。視点によっては「人の顔」にも見えるし「壺」にも見える。この小説も、視点を変えると全く新しい物語が見えてくるところが見事だと思いました。物事を一面的に見てはいけないな、ということにも気づかされましたね。

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