謎の失踪事件から見る、ドキュメンタリーの功罪(Rolling Stone Japan)

出典元:Rolling Stone Japan

1920年代に建築された米ロサンゼルスのセシルホテルは殺人・薬物・売春など、忌まわしい歴史を持つホテルとして知られている。Netflixドキュメンタリー『事件現場から:セシルホテル失踪事件』は、2013年に発生したエリサ・ラム失踪事件を検証した作品だ。監督はジョー・ベリンジャー監督(『殺人鬼との対談:テッド・バンディの場合』)。

【動画を見る】連続殺人鬼や薬物中毒者が出入りするセシルホテル

事件の事実関係をご存知ない方のために補足すると、ラムさんは2013年、ロサンゼルス旅行中に失踪。ロサンゼルス警察署がエレベーターの監視カメラの映像を公開したことで、彼女の行方の謎はますます深まった。エレベーターの中で彼女は突飛な行動をとり、大げさな身振り手振りでせわしなく動き回っては、何者から、あるいは何かから隠れるようなそぶりをしていた。最終的に、警察は屋上の貯水タンクの中から彼女の腐敗した遺体を発見。彼女が屋上へ行き、貯水タンクの中へ至った経緯はいまだ謎のままだが、検視の結果、身体的暴行や性的暴行の跡はなく、事故による溺死と判定された。ラムさんが双極性障害を患っていたことで――薬物報告書によれば、死亡時に彼女の体内に残っていた薬物の痕跡はごくわずかで、薬を摂取していなかったであろうと思われる――彼女が精神病の発作を起こし、屋上に登ってタンクの中に落ちたのではないか、という説が有力となった。ホテルで彼女と同室に滞在していた客は、事件数日前に彼女の「奇行」に不満を漏らし、個室に移っている。おそらくもっとも重要な点は、ラムさんが偏執的な妄想や被害妄想に悩まされていたことを姉も認めていることだ。エレベーターでの彼女の言動もこれで説明がつく。

以上が警察や多くのメインストリームメディアが報じたエリサ・ラムさん死亡事件だ。彼女が薬を摂取していれば、ホテルの従業員や滞在客の1人でも彼女の精神状態に注意していれば、あるいはその他いくつかの要因で防げたかもしれない悲劇の事故。だが『事件現場から:セシルホテル失踪事件』の大部分で描かれる物語ではない。ドキュメンタリーの筋書きは、ラムさんの事件に魅せられたネット探偵たちが中心となって進められていく。

こうしたストーリーテリングの手法をとった目的は明白だ。すでに8年が経過した事件に、あらためて関心を呼び起こすこと。なにしろ実録犯罪ものや、陰惨な殺人事件をめぐってあれこれ推理を練るのに夢中なPodcastやFacebookグループが爆発的人気を博す以前に起こった事件なのだ。

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